1.海藻飼料の特徴

地球上のあらゆる栄養を吸収し、光合成により育った海藻は、すべての生物が必要とする豊富な各種ミネラル、微量要素、ビタミン、アミノ酸を含有しており、必要不可欠な飼料添加物であると同時に貴重な栄養源でもあります。

陸上植物には消化障害物質などが散見しますが、海藻には有害物質などがほとんどなく、安心して利用できるものです。(一部海藻には砒素などが検出されますが、危険とされる濃度ではありません)

また陸上で育った植物よりも海中で育った海藻のほうが飼料として魚の生理上良いことがあげられます。

近年では自然の産物である海藻に含まれる免疫賦活物質注目されており、世界中の養殖場で広く利用されています。

特にノルウェーにおけるアトランティックサーモンの養殖場での海藻粉末の使用は良く知られており、またそのサーモンの味のよさは抜群の高い評価を得ています。この他、天然の栄養補給源としても重要視されています。

2.使用される海藻の種類

今日広く使用されている海藻粉末は、栄養面、供給面、価格などの観点から褐藻類が主体です。特にノルウェー産の「アスコフィラムノドサム=商品名アスコシーグリーン」の需要がもっとも多く、次いでチリ産の「レッソニア」、南アフリカ産の「エクロニア」が利用されています。

3.飼料への添加率

魚種によって異なりますが、通常は1~5%ほど飼料に混ぜて使います。
あわびの飼料への添加率は50%です。

4.対象魚種

養殖されている魚種は肉食もしくは雑食性が多いですが、種類にかかわらず飼料に練りこむことでお使いいただけます。

タイ、ハマチ、カンパチ、トラフグ、ヒラメ、シマアジ、クルマエビ、ウナギ、アユ、コイ、ドジョウ、アワビ、ウニ、ゴカイ

5.使用効果

  • 品質向上、免疫増強、抗菌、抗ウイルスなど病気に対する抗病性、およびストレスに対する抵抗力が増大します
  • 各種ミネラル、微量要素の補給
  • 多糖質(フコイダン、ラミナリンなど)には血液凝固阻止や、抗潰瘍作用があり、イリドウイルスにも効果があるとの報告もあります。
  • アルギン酸のバインダー効果による飼料効率が向上し、海の濁りがなくなる
  • 魚全体の色および身の色が良くなり、肉質および食味が向上する。
  • 体表粘液(ヌメリ)が増加し、体表損傷が減少する
  • タンパク質効率が向上し、脂肪代謝促進による脂肪含有量が減少し、天然魚と変わらなくなる
  • 酸欠に対する抵抗力が増す
  • ハマチの側線および尾の部分がきれいになり、商品価値があがる
  • マダイの脱鱗を防ぐ
  • ハダ虫に効果がある
  • 体脂肪がエネルギーにへ転換され、筋肉タンパク質の消費を抑制する。海藻を添加することにより、魚体脂肪が増す魚類(ハマチ、タイ類)では出荷、輸送、越冬時の体重減少を少なくする
    飼料中のタンパク質や糖類の吸収を向上させる
  • ビタミン混合物との投与は相乗効果をもたらす

その他にも数々の報告あり。安全性および食味に対する消費者のニーズが高まるに伴い、天然物である海藻粉末の需要は増加すると考えられています。 上記以外にも実に広い範囲にわたっていろいろな効果があります。どうぞじっくりと腰をすえて魚に与えてみてください。

6.現場での上手な使い方

マッシュに混合、またはモイストペレット造粒機の中へ直接配合して使われるのが一般的です。

(Visited 408 times, 1 visits today)