アーバスキュラー菌根(AM)菌

土壌中にいるカビの一種です。
菌糸が作物の根に侵入して、作物から光合成産物を得る代わりに、菌糸が土壌中から吸収した肥料成分やミネラルを作物へ供給する共生関係を結びます。
特に土壌中での移動が少ないといわれるリン酸の供給効果が高いです。
ヒマワリやマメ科緑肥などはアーバスキュラー菌根菌密度を高め、後作(タマネギ、豆類、小麦など)の生育を良好にします。

アレロパシー

「植物が放出する化学物質が他の生物に阻害的、あるいは促進的な何らかの作用を及ぼす現象」を意味します。
ヘアリーベッチのようにアレロパシー効果による雑草抑制効果の高い緑肥を栽培することで、除草剤の使用や耕起作業を軽減することができます。

塩類集積

施設栽培では、過剰な施肥が行われることが多く、使われない肥料は土壌中のカルシウムなどの塩基と結合して塩類となり、流亡することなく土壌表層に集積します。
塩類集積土壌では、以下のような問題が生じます。

1.肥料成分そのものの濃度障害
2.作物の吸水阻害
3.肥料成分の拮抗作用による吸肥阻害

対策としては、クリーニングクロップの栽培による除塩が望ましいです。

クリーニングクロップ

主にハウス土壌に集積した過剰養分を作物に吸わせて除去すること、あるいは土壌病害の防除を目的とした緑肥作物です。
土壌中の硝酸態窒素の河川や地下水への流亡が問題となっている現在、施設の湛水除塩法に代わる環境負荷の少ない技術として、持続型農業に貢献しています。

空中窒素固定

レンゲヘアリーベッチなどマメ科緑肥の根に共生する根粒菌は、植物が直接吸収できない空中窒素を固定する特別な力を持ちます。
そのため、栽培によって地力窒素が増加し、後作の減肥が望めます。

C/N比

有機物に含まれる炭素(C)と窒素(N)の比率を表し、それにより、土壌中での有機物分解のされ方が異なります。
C/N比20以下ではすみやかに分解が進み、肥料効果が得られますが、20以上では逆に分解のために土壌中の窒素が奪われます。
C/N比20以下…レンゲ、エンバク茎葉部など
C/N比20以上…コムギ稈、バークなど

線虫対抗作物

有用作物に甚大な被害を与えるネコブ線虫やネグサレ線虫の密度を積極的に低下させる緑肥作物です。
線虫への直接的な作用だけでなく、緑肥効果により好適環境を作物に提供し、健全な生育を促すことで作物自身の耐性をも付与します。
遅効的であるが、有効範囲が広く、薬剤に頼らない環境保全型農業の一環として注目されています。

窒素飢餓

C/N比20以上の有機物を土壌中の微生物が分解する際、土壌中の窒素を奪うため、一時的に可給態窒素が欠乏します。
緑肥作物をすき込んだ場合、20~30日の腐熟期間をおくことで、窒素飢餓は回避されます。

リサージェンス

効果範囲の広い殺虫剤や土壌消毒剤は、対象害虫と同時に天敵昆虫や微生物をも減らすことになります。
それにより、害虫密度が急速に回復し、散布前よりも被害が大きくなることがあります。
これをリサージェンスと呼びます。

間作や圃状周囲にソルゴークローバやムギ類を栽培することや、線虫対抗作物を利用することで、天敵数が豊富になり、リサージェンスが起こりにくくなり、農薬の使用量も減らすことができます。

草生栽培

果樹園の下草として、飼料用ムギや牧草類を被覆栽培することで、樹勢の維持をはかり果実品質の向上、安定生産が期待できます。
草生栽培の長所として、次のような効果が得られます。

1.園地土壌の表土保全で、侵食防止効果が得られます。
2.土壌の団粒化を促進、保水性、排水性が改善されます。
3.雑草の抑制で、除草剤の軽減につながります。
4.不足しがちな有機質を園内自給で、省力化になります。

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