◆線虫と病原菌による複合病
有害線虫による被害は、宿主作物が養水分を収奪されることで起こるしおれや生育阻害として、また根菜類においては寄生部位の異常生育による商品価値の低下としてみられます。
また、有害害虫と他の病原菌との混合汚染圃場においては、両者相互の働きかけにより低菌密度での病害発症、潜伏期間の短縮、作物側の病害抵抗性の低下など、病原菌単独の場合より被害が大きくなることがあります。
これらは複合病と呼ばれ、共通の宿主作物の連作や周年栽培で被害が助長されます。
病気の陰に潜む線虫の存在を知り、それを抑えることも防除のうえで重要です。
線虫害や複合病害に対しては、殺線虫剤や土壌消毒といった単一の防除手段に頼るのではなく、耕種的防除など総合的に取り組むことが理想です。
そこで、特定の有害線虫の密度を積極的に低下させる線虫対抗作物を輪作体系に取り入れることをおすすめいたします。
有害線虫を耕種敵に防除するのと同時に、土壌の物理性、化学性、生物性の改善を図り、線虫や病害に強い土づくりを目指しましょう。
◆代表的な線虫複合病
《ネコブセンチュウによるもの》
トマト萎凋病
トマト半身萎凋病
ナス青枯病
ダイコン萎黄病
《ネグサレセンチュウによるもの》
ダイコンバーティシリウム黒点病
キャベツバーティシリウム萎凋病
ハクサイ黄化病
レタス根腐病
◆線虫対抗作物の効果
例:線虫名…主な被害作物…線虫対抗作物(品種)
サツマイモネコブ…キュウリ、スイカ、メロンなど…ネマクリーン、クロタラリア、ギニアナツカゼ、スダックス緑肥用
ジャワネコブ…キャベツ、葉タバコ、ジャガイモなど…ネマクリーン、ギニアナツカゼ
アレナリアネコブ…キュウリ、トマト、ナスなど…ネマクリーン
キタネコブ…テンサイ、落花生、玉ネギなど…ネマクリーン、ギニアナツカゼ
キタネグサレ…ダイコン、ニンジン、レタスなど…ニューオーツ、エビスグサ、マリーゴールド
ミナミネグサレ…サトイモなど…ネマクリーン、マリーゴールド
クルミネグサレ…イチゴなど…ネマクリーン、スダックス緑肥用
ナミイシュク…サツキ、ツツジなど…ネマクリーン、エビスグサ
ユミハリ…サツキ、ツツジなど…エビスグサ
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