[564]液体肥料を混合するときに気を付けること
液体肥料を混用するときに気を付けなければならないのがカルシウムが入った液肥。
カルシウム液肥は水溶性の状態で存在していますが、リン酸と出会うと結合しリン酸カルシウムとなって沈殿してしまいます。
沈殿するということは水溶性でなくなっているので、肥料として効きません。
なのでカルシウム液肥はほかの液肥と混ぜずに使ったほうが安心です。
しかし、農家さんはなるべくなら省力化したい。
そこで混用して一回で散布を済ませたい、ということになります。
その場合は、リン酸が入った液肥を1000倍に希釈したものを10L、次にカルシウムの入った液肥を1000倍に希釈したものを10L、それぞれを混ぜて使うという方法があります。
希釈していればリン酸カルシウムの生成は起こりにくいからです。
でもこの場合ですが、混合すると水量としては20Lになってしまいますよね?
するとリン酸側から見ると、2000倍希釈。
カルシウム側から見ると、同じく2000倍希釈になります。
これってどうなの?
薄くないの?
確かに薄くなります。
でもよく考えると、肥料の成分量としては変わりません。
りん酸液肥のほうの成分比率が8%とすれば、それを1000倍希釈にした10Lに含まれる成分量は0.8g。
※肥料原液に含まれるりん酸8%として、10ccを1000倍に希釈して10L→リン酸成分は0.8g
これにカルシウム液肥の希釈液10Lを加えても20Lの水量になりますがリン酸成分量0.8gは変わりません。
なので、希釈液同士を混ぜても総量は増えても大丈夫です。
なお、これは肥料の話で、農薬となると話は別です。
農薬の場合は、希釈倍率をきっちり守って使用します
例として1000倍既定のA農薬を10L作ったとします。
これにB農薬を混用する場合は、A農薬希釈液10Lに対して1000倍になるようにします。
したがってできた混合液の総量は10Lです。
《ポイント》
・液肥の混用はそれぞれの肥料の希釈倍率で作ってそれを混合してよい
・肥料は希釈倍率ではなく、面積当たり必要量を意識して使う
・農薬は混合後の希釈倍率を守る