[549]水溶性なのに肥料が溶けませんが?…
買った硫酸カリ51がなかなか溶けません。
完全溶解タイプとありますが、どうなっているのでしょうか?
たまに、こういった質問をいただくことがあります。
硫酸カリは溶けやすいタイプの51%ものと、溶けにくい50%のものがありますが、どちらも最終的には水に溶けます。
ただし、条件があります。
#硫酸カリ51のSDSより
肥料の種類:硫酸加里
保証成分量:水溶性加里 51.0%
化学式:K2SO4
純度:98.5
pH: 5.0〜8.0(5%水溶液, 25℃)
溶解度:水に溶けやすい(11.1g/100mL,20℃)
この情報で最後の行に[溶解度]というのがあります。
溶解度が(11.1g/100mL,20℃)となっています。
これは20℃の水100mLに11.1g溶けます、という表示です。
ということは【11.1g以上は溶けません】ということになります。
希釈倍率でいえば約10倍程度です。
100mLの水に50gも入れたら、飽和してしまい、いつまでたっても溶けない粉末が残ってしまいます。
#5倍希釈は不可能です
溶解度を理解してそれ以上は入れないようにしましょう。
ただ、それでも規定量未満を入れたのに溶けないという指摘があります。
これは何とも言えませんが、
1.純度の問題
2.結晶は溶けにくい
の理由かもしれません。
1.の理由
硫酸カリは化学式 K2SO4 のとおり化学物質です。
化学物質なんだからどれも同じだろう、と思いがちですが、精製度のレベルというのが存在しており、肥料用の場合は精製度が低く、また不純物も含まれることがあります。
#なので安価な肥料用
実験結果などで純度を気にされる方は、試薬用をお使いください。
理科学系のお店で売っていると思いますが、価格は当店の10倍くらいします。
2.の理由
硫酸カリは無水の結晶状態となっております。
水分子を含まず、硬い結晶なので溶けにくいということはあります。
しかし水温を上げて撹拌し1日くらい置くと完全に溶けますので、ゆっくり観察してください。
《ポイント》
・水溶性肥料であっても溶解度以上には溶けない
・結晶のものは硬いので溶けにくいことがある
・その場合は1日静置してみる