[504]イチゴ用の養液栽培肥料を考える
イチゴの養液土耕栽培に使う肥料があります。
イチゴ農家さん御用達の肥料です。
◆[品薄]イチゴ向き-養液土耕6号|OATアグリオ|養液土耕専用肥料 複合14-12-20【10kg】
養液土耕栽培というのは、植物工場のように養液だけで栽培するのではなく、土を使うけれどもそこに肥料分の入った養液を流して栽培する方法です。
#やっぱり土を使ったほうがおいしいイチゴができるとのこと。
さて、この養液土耕6号ですが、現在超品薄です。
去年の暮れから欠品が続いており、いまだに調達不可能です。
これでは困ってしまいますので、代わりに使えるものを考えようという企画です。
◇養液土耕6号の成分
窒素全量:13.5(うち硝酸性窒素:8.5)
りん酸:10.0
加里:20.0
苦土:1.0
マンガン:0.15
ほう素:0.15
石灰:6.5
鉄:0.25
銅:0.004
亜鉛:0.012
モリブデン:0.004
※単位は%
チッソが14%、りん酸が10%、加里が20%、その他微量要素入りとなっています。
これの代用として使えるのがホーグス1号です。
◆ホーグス1号(N10-P8-K28-Mg5)【10kg】養液栽培用汎用肥料
ホーグス1号の成分
内アンモニア性窒素:1.5
硝酸性窒素:8.5
水溶性りん酸:8.0
水溶性加里:28.0
水溶性苦土:5.0
水溶性マンガン:0.150
水溶性ほう素:0.150
※単位は%
ホーグス1号は必要な窒素りん酸加里の他、微量要素も配合された、水耕栽培用の肥料です。
◇比較
養液土耕(N14-P12-K20
ホーグス1号(N10-P8-K28)
※N=窒素、P=リン酸、K=加里
土耕6号に比べホーグス1号は、窒素やや少なめ、りん酸やや少なめ、加里多め
となっておりますが、希釈量・施用量をコントロールすることでほぼ同様に使えることが分かります。
一番のポイントは、カルシウム(石灰)です。
ご覧のように、
養液土耕6号はカルシウム(石灰)成分が入っています。
>石灰:6.5
ところがホーグス1号はカルシウム(石灰)が入っていません。
これは石灰を配合すると、養液にしたときにりん酸と結合しリン酸カルシウムとなって沈殿してしまうからです。
#リン酸カルシウムは肥料として使えません。
なので、ホーグス1号を使用するときは、適宜カルシウム溶液を作っておいて、それを使う直前に混合して施用します。
使うカルシウム剤は、硝酸石灰4水塩です。
※硝酸石灰は硝酸態窒素分を含みますので、そのあたりを考慮して使う必要があります。
では、なぜ養液土耕6号にはカルシウムが配合されているのか?
結合して沈殿しないのか?
これは実際のところどうしてなのかはわかりませんが(企業秘密?)、おそらくpHを下げるなどして、結合しないような工夫がされていると思います。
まだまだ「肥料不足」それに伴う「価格高騰」は続くと思われます。
価格は「今が一番安い」と思って、「あるうちに確保」だと思います。
なんとか知恵を絞ってこの難局を乗り切りましょう!