よく園芸雑誌や記事を見ると
『放線菌を増やしてカビ菌による病害を防ぐ』
てな記述を見かけます。
糸状菌というば、カビに代表されるように、細胞から菌糸を出しているイメージ。
一方で放線菌も菌糸状に生育して増殖します。
一見似ていますが、これらは似ていて非なるもの。
糸状菌と放線菌はどう違うのか?
糸状菌=菌=真菌類=真核生物
放線菌=細菌=細菌類=原核生物=バクテリア
で、この難しい違いはよくわからなくてもいいんですが、放線菌はキチナーゼという分解酵素を出すんですね。
キチナーゼは前回もお話ししたようにキチン質を分解する酵素です。
放線菌は土壌に棲む微生物ですので、土壌にカニガラ(キチン質)やキトサンを撒くと、それを分解して自身の栄養分にします。そして放線菌が増殖します。
カビ菌はキチン質でできているので、放線菌が出すキチナーゼによって分解され、その結果、カビ菌由来の病害が軽減する効果が狙えるというわけです。
カニガラやキトサンは直接病害を防ぐことはできませんが、仲介する放線菌によって病害被害を減少することができるというわけです。
センチュウもキチン質でできているので放線菌によって害が軽減します。
ちなみに糸状菌による病害
灰色かび病、うどんこ病、黒星病、立枯病、菌核病、白絹病、いもち病、黒点病、トマト萎凋病、イチゴ萎黄病、ナス半身萎凋病、白紋羽病、疫病など多くの病害の原因が糸状菌です。
土壌づくりの際には必ずカニガラを混ぜましょう。
病害が出そうだったら予防にはキトサン溶液を散布、土壌潅水しましょう。
カニガラは緩効性ですが、キトサンは即効性があります。
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ちなみに余談ですが…
治りにくい水虫。これは白癬菌というカビ菌の仕業なのですが、なぜ治りにくいのか?というと、カビ菌(=真核生物)を退治する薬は人体も攻撃するからです。というのも人体(ヒト)も真核生物に属するから。あまり強い薬は使えない=治りにくい、というわけ。