次作の準備をする際に、石灰や苦土石灰を習慣的に施用しているとどうしてもpHが上がり気味になります。
化粧品の宣伝文句ではありませんが、土も化粧品も弱酸性が調子良いのです。
ちなみに家庭用品法による定義では・・・
弱酸性:pH3.0以上6.0未満
中性:pH6.0以上8.0以下
弱アルカリ性:pH8.0~11.0以下
土壌の場合、上記範囲の間でしたら、とりあえずは問題なく作物は成育します。
しかし植物の特性合わせてpHを調整してあげることは病害予防・収量にも影響してきますので、気を配りたいところです。
石灰を施用し、pHが上がり気味の場合、どうしたらいいか?
という相談が山ほどきます。
例:pH7の土壌をpH6に下げたいけど、どうしたらよいか?
《対策1》
まずはpHを上げている原因となっている資材の施用を中止します。
石灰や苦土石灰などの施用は当然中止。
あとは堆肥や培養土にも石灰分を多く含むものもありますのでこれらも使用を中止します。
ハウス栽培の場合はポリをはずし、風雨に当てることも効果的です。
《対策2》
使う肥料に気を使う。
肥料には「硫酸***」といった名前の肥料があります。
これは肥料分が吸収されたあとに残る成分が硫酸系で酸性にする作用があり、こういったものを使うと、徐々に酸度が下がっていきます。
例:硫安(硫酸アンモニア)、過リン酸石灰、硫酸カリウムなど
※過リン酸石灰は「石灰」と付きますが、リン鉱石と硫酸を反応させて作るのでアルカリではありません。
《対策3》
硫黄資材を使う。
硫安などは硫酸との化合物ですが、硫酸の元となるものは硫黄です。この硫黄を配合したサンドセットという資材があります。
これは酸度調整を目的とした資材なので、確実に酸度を下げることができます。
ただし、酸度の調整は土壌の条件などが重なり、計算どおりにはいきません。
通常の畑:100kg/10aを目安に投入し、様子を見てください。
※計算上はpH7→pH6に下げるには2500kg/10a必要になりますが、その通りになるとは限りませんし、コスト的にも現実的ではありません。土壌バランスも崩れてしまうかもしれませんので、大量投入はおやめください。
◆ポイント…酸度を下げるには…
・石灰などアルカリ資材を使わない
・硫酸系の肥料を使う
・サンドセットなどの硫黄資材を使ってみる
・酸度を下げるのは計算どおりにはいかない(難しい)