[411]硝酸カルシウムのハナシ
今日は硝酸カルシウムの話をします。
硝酸カルシウムは、硝酸とカルシウムが結合した物質。
硝酸石灰ともいいます。
#カルシウム=石灰
硝酸カルシウムは、硝酸態チッソとカルシウムが同時に補給できる優れた肥料です。
チッソにはアンモニア態と硝酸態がありますが、硝酸態のほうが吸収されやすいので即効性があります。
一方でカルシウムは、そのままだと不溶性なので植物体に吸収されませんが、硝酸カルシウムの状態では水溶性ですので、即効性のあるカルシウム剤として活躍します。
硝酸カルシウムは即効性のチッソと即効性のカルシウムを持つ肥料として、プロ農家さんではほぼ必須の肥料となっております。
ところで、硝酸カルシウムには2水塩と4水塩があります。
《2水塩》
化学式:5Ca(NO3)2・NH4NO3・10H2O
状態:顆粒
成分量:硝酸性窒素15.0%(CaOの含有量は27.7%)
《4水塩》
化学式:Ca(NO3)2・4H2O
状態:結晶
成分量:硝酸性窒素11.7%(CaOの含有量は23.6%)
どう違うのか?
2水塩は分子構造の中に2つの水分子を持っています。
4水塩は水分子を4つ持っています。
2水塩は水分子が少ないため、肥料成分は多めです。
しかしそのため水に溶けにくいです。
潮解性も緩やかで保存がききやすい。
4水塩は水分子を多く持っているため、水に溶けやすいです。
しかしその分肥料成分は少なめです。
潮解性が強く常態で水を含んだザラメ状で、保存しにくいです。
※開封状態で1年ほど放置しますと、最終的には「水のようになります」が肥料成分は保持しておりますので、捨てないで肥料として有効利用してください。
#潮解性=空気中の水分を吸収して徐々に溶解していく性質。
水に溶かしてすぐに使う場合は4水塩。
保管して少しずつ使うには2水塩が便利です。
◆硝酸カルシウムの使用効果
・硝酸態チッソを効率よく吸収させます。
・カルシウム欠乏による要素障害を防ぎ、作物の品質向上に貢献します。
カルシウムは細胞を作る骨格の材料です。細胞を丈夫にし、茎や葉を強固にするため、病虫害に対しての抵抗力が高まります。
◆カルシウム欠乏による主な障害
トマト・ナス・ピーマン…尻腐れ
キャベツ・白菜・レタス・ホウレンソウ…ふち腐れ・心腐れ
玉ねぎ・セルリー…心腐れ
イチゴ…チップバーン
根菜類…新葉の生理阻害
りんご…ビタービット
ナシ…裂果、石ナシ化
サクランボ…果肉の軟弱化
転ばぬ先の硝酸カルシウム肥料。
ぜひ使ってみてください。
◆速効性・硝酸カルシウム(硝酸石灰)【800g】
◆硝酸カルシウム2水塩(硝酸石灰)【20kg】