[309]トマトの尻腐れ病で転流阻害を疑う
尻腐れ病はトマトの実のお尻の部分が黒く変色し、腐ったようになる病気です。
実際には菌による病気ではなく生理障害です。
カルシウムの不足が原因とされています。
ところがカルシウムを与えているのに、カルシウム不足になってしまい尻腐れ病になることがあります。
原因は、土壌のカルシウム不足ではなく、転流阻害かもしれません。
転流とは、光合成や根、葉から得た栄養素が植物内細胞間を行き来すること。
転流阻害とはこれが何らかの理由でできなくなることをいいます。
1.カルシウム不足にならないよう、せっせとカルシウムを土壌に注入したとします。
これで安心と思いきや、カルシウムが多いと土壌の塩基過多になり、土壌の浸透圧でカルシウムを吸収できなくなるのです。
対策→塩基解消として、クエン酸溶液などを土壌に散布
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2.また、カルシウムを利用するには、マグネシウムやカリウムが必要ですが、カルシウム過多なのでマグネシウムやカリウムが不足して利用できなくなっている場合もあります。
対策→マグネシウム、カリウムを葉面散布
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3.カルシウムは植物内では移動しにくい物質といわれ、カルシウムを与えても実に行かず、葉に溜め込んでしまうことがあります。
対策→摘葉してカルシウムが流れるようにする
摘葉することで葉に行ってしまうカルシウムを果実に行かせることができます。
果実下の葉や、実の180度反対側にある葉は不要なので、こまめに取ることでカルシウムが流れるようになります。
4.ケイ酸不足が引き金となってカルシウム不足になることがあります。
対策→ケイ酸溶液を土壌に散布
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5.高温、乾燥で尻腐れ病が発生しやすくなる。
対策→栽培環境(夜間温度、換気、湿度、日照など)を改善する
以上、尻腐れ病の原因と対策を列記いたしました。
ご参考まで。