有機資材を水耕栽培に使いたい、という要望が多く、その際のご質問が多く寄せられます。
水耕栽培に有機物を使って好成績をあげられることは想像に難くありません。
実際に多くの効果があります。
しかし、同時に大きなリスクも抱えることになります。
水耕栽培は植物工場に代表されるように、無機質の肥料・資材で栽培されます。
無菌の培地(ロックウールなど)に、無菌の無機質肥料。
そして、外部から遮蔽された栽培地。
これは無菌で行うからこそ適正な管理がされる、つまり「無菌工場」なわけです。
ここに有機物を投入したらどうなるか?
有機物は微生物を寄せ付け、無菌であったはずの施設が有菌状態になります。
ここで、あまり害を及ぼさない菌だったらいいですが、悪玉菌だったら目も当てられません。
自然界は全体が微生物層になっていて、仮に悪玉菌がはびこってもそれを抑える菌がいるのでなんとかなりますが、施設の場合には他の菌がいないわけですから抑えることができません。
無菌の水耕栽培工場で有機物を使った結果、最初は好結果を生んでも2年目3年目に病害が発生し、5年目には病害で全滅して、最初からやり直し、なんてことになってしまうこともあります。
なので、水耕栽培に有機物を使うことは長い目で見た場合お勧めできないのです。
それでも「有機物を使いたい」というかたには、これをお勧めします。
この肥料は有機質といっても分子構造の小さいアミノ酸になっており、分解が進んでいるため微生物が寄り付く前に素早く吸収されます。
ただし、水耕栽培について決まった用法はありませんので、ご自身で研究ご試用ください。
有機物を含む資材を水耕栽培に使うときは微生物環境を考えながらお使いいただくことが肝要です。