肥料には肥料取締法第17条により、含まれる保証成分量を表示しなければならないことになっています。表示項目は窒素N、リン酸P、カリKの三種類です。
保証成分量は含有量%で表記しています。たとえばN8-P6-K4の化成肥料20kg入りの場合、N(窒素)160g、P(リン酸)120g、K(カリ)80g含んでいることになります。
作物によって必要な量は異なりますが、おおむね窒素の必要量を基準に、リン酸とカリは少なめに施用し、成長を見極めて足りないリン酸・カリ分は追肥で補うようにします。
さて、このリン酸ですが、水に溶ける水溶性の状態か、もしくは根酸(クエン酸)で溶けるク溶性の状態で肥料に含まれています。これを植物に肥料として与えると、雨水や根酸の働きでリン酸が植物に吸収されます。化学式はH3PO4で表します。
一方で、ハムソーセージの添加物としてよく知られるのがリン酸塩です。化学式はPO43-。保水や保存性、発色をよくするために添加されるものですが、これは肥料のリン酸と同じものではなく、リン酸がいろいろな塩基と結びついて塩(えん)になったもの。なので、肥料分のリン酸とはちょっと異なるものなのです。
リン酸塩は、リン酸と結合する塩基によって、その性質が異なりますので、毒であるかどうかは定かではありません。ですが、中和している(これを塩という)ものですから、酸度的には中性で安定しています。
もっともリン酸塩は、リン酸と他の塩基が結合したものなので、これからリン酸を取り出すことはできます。リン鉱石は、動物の死骸が化石化した、いわばリンの天然塩ということができます。
ちなみにリン酸の元となる酸化する前の状態が「リン」。Pで表す原子番号15の元素です。これと酸素が結びついたのがリン酸。リン酸と塩基が結合して中和してできたものがリン酸塩。
というわけで化学の授業でした。
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