今回は57回で紹介した尿素を使った、土壌改良例です。尿素を使うことで微生物が必要とする窒素を補給し、速やかに土壌改良を実現します。
名古屋地方で菊栽培をしている農家さんからSOS。株に病気が出て見栄えが悪く、ほとんど収穫にならないとのこと。早速現場に行ってみると、これがひどい状態。
圃場全体的に枯れた状態になり、株を抜いてみると根がほとんど伸びておらず褐色になっている状況。原因は一目で土壌にあると判断。団粒構造には程遠く、細粒構造になっており、土中は酸欠状態。残渣等の未分解物が多く残っており有用微生物が少なく、一方で雑菌が繁殖している模様。たい肥には牛糞生たい肥を使っているということで、これが原因のようです。
対策としては、生たい肥施用が原因の雑菌繁殖の抑制と、未分解残渣の解消。資材には、トーマスくんと補助に尿素を使うことで解決を試みます。
【施工面積200坪、対策日3月3日】
現状の未分解残渣と生牛糞たい肥はそのままでよく耕起し、残渣を土中に鋤きこみます。その上で、以下の資材を全面散布。
1.スーパー源肥(ETO菌配合のたい肥):15~入りを20袋
2.ミネラルこんぶ(発酵海藻):15~入りを7袋
3.土づくりの元(有機石灰):20~入りを7袋
4.次に尿素10~を散布します。
尿素は残渣の腐植促進(微生物が発酵の際に消費するチッソを補給)に使用で応用対処的な使い方です。
次に、
5.トーマスくん12リットルと穂宝源10リットルを混合し、約200リットルの水に希釈し全面に散布。
6.散布後耕起して、散水を十分にしてからビニールで養生。
7.50日程度放置し、定植前に再耕起してから定植(差し苗)します。
この圃場は残留養分過剰の為、基肥の投入は無しとしましたが、必要であれば、かつおくんなどを適宜投入します。
対策後2週間(3月17日)でかなり残渣の分解と土壌の団粒化が進んできます。
50日後の5月11日状況は見事に土壌改良が進み、健全栽培が可能になりました。栽培者の話では「本当に土壌が変わり、ふわふわし感触が良いし、発根が早く根張りが今までの倍近い、すべてがしっかりとし凄いです」と絶賛の笑顔。よかったですね。
生たい肥、生鶏糞、施肥過剰、未分解残渣は病気の元です。疑わしい場合は早速トーマスくんを使ってみてください。これらを速攻で分解し、団粒構造の土壌へと改善させます。
参考資材: