[57]尿素とは?
尿素とは「おしっこの元」と書きます。尿素は肥料として一般によく知られますが、最近「手あれ」を防ぐクリームに「尿素入り」と言うのもあり、これって汚くないの?と思ってしまう人も多いことでしょう。
尿素はその名の通り、尿の中から発見されました。しかし製品としての尿素は尿から作ることはなく、ほとんどが化学合成されています。
尿は身体の中で利用されたタンパク質などの窒素化合物を分解して老廃物として最終的に排泄する機能を持っています。窒素化合物の老廃物はアンモニアという形で排泄されますが、アンモニアはそのままだと人体に有害なので、安全な尿素をという形に変えて蓄えておきます。
尿素はアンモニアと炭酸ガスの化合物なので、有機物です。化学肥料なのに有機物というのは尿素くらいではないでしょうか。
アンモニアは窒素肥料になりますので、尿素は窒素肥料として使われます。同じく窒素肥料として有名なのが硫酸アンモニウム(硫安)です。しかし硫安は畑の土壌を酸性にしてしまうので、最近では中性の尿素肥料が主流になりつつあります。尿素は速効性の肥料なので、この季節、早い成長が必要な葉物野菜には最適の肥料(追肥)です。
ちなみに、尿素は腎臓で作られますが、腎臓の強い硬骨類の魚はアンモニアを尿素に変え尿として排泄することができるので、おいしい魚となります。ところが腎臓の弱いサメなどの軟骨魚類やほや等は、アンモニアを尿素に変えてそのまま体に蓄積するので、鮮度が落ちると肉の中の尿素が分解してアンモニア臭くなるのでおいしくありません。
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