[18]海鳥グアノでできている国の話
バットグアノの親戚に海鳥グアノというものがあります。珊瑚礁の島に海鳥が生活し、その死骸や卵の殻、糞や餌の食べ残しなどが堆積し、珊瑚礁の石灰質と反応して化石化したものが海鳥グアノです。
その海鳥グアノでできている島がナウル共和国。ニューギニアから東に2000kmの位置にある周囲19kmのナウル島からなる国。赤道よりわずかに40km南に位置し、メラネシアに属します。周囲に島は無くギルバート諸島からは約500km、南西のソロモン諸島からは約1000km離れている孤島です。
1798年にイギリスの捕鯨船の船長ジョン・ファーンがこの島を発見。プレザント島 (Pleasant Island) と命名しました。その後ドイツ、オーストラリア、イギリス、ニュージーランドなどの支配下に置かれ、戦時中は日本軍にも占領されていた経験がある国です。
2007年6月24日放送、日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」に登場したこの国は、唯一の産業がリン鉱石の産出。20年前までは世界有数の富裕層を抱える国でした。しかし今ではリン鉱石も枯渇して、島民(国民)はほとんど失業状態。主だった産業も興せず、外国からの支援でなんとか運営している国です。
この国の産業となったリン鉱石は海鳥グアノです。リン酸を含みますので肥料になります。サンゴ礁でできた島で、何万年もの大昔から海鳥の巣になっていたのでしょう。その海鳥の糞や死骸に含まれるリンはサンゴ礁の石灰と化学反応し化石化してリン鉱石となります。
島を構成するサンゴ礁自体は深く存在しても、そこに振りそそいだグアノ層は有限です。約100年のあいだむやみやたらと採掘した結果、枯渇してしまったのです。あわてた政府は新たに産業をおこそうにも、贅沢に慣れた国民、そして農業も漁業にも興味がない国民に期待はできません。することも無くただ島内をぶらぶらしている国民がなんとなく哀れです。
ちなみにバットグアノも元々海にあった珊瑚礁が隆起して地上で洞窟になり、そこに住み着いたコウモリが同じように生活の残骸を堆積させたもの。海鳥グアノと多少成分が異なり、バットグアノのほうが肥料効果は高いようです。
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